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詩を作ることを知ろうと思ったら
詩の国へ行かねばならない
詩人を知ろうと思ったら
詩人の国へ行かねばならない

(ギョエテ/「西東詩篇」より)

 

「速度は三倍?」。略して「速三?」は長いネットの歴史の中で、いつぞやから存在していたのか定かではない。 しかし、一つだけ云えるのは、広大とも云えるネット空間の中で、世界の果てにあるやうな、小高い丘にぽつりとある丘のやうに。 うらぶれた三丁目路地裏のバアのようにそこらへんによくある人畜無害サイトとしていつぞやからか存在していたことは確かなやうである。 盛者必衰の理を持ち出そうにも、初めから波も風も立たず、浮き沈みもないので、この原理は通用せず、 店自体も静かに浮いている蜃気楼のような佇まいをしている上、複雑に入り組んだ路地を通るものであるから、 わたしも道を間違えることが度々あつた。 中に入るとその店の主は例の如く一人、客の居ない店内の薄暗い照明の中で、ただただ酒を煽つて居る。 主人の席のテエブルの上のグラスにはモルトの酒。極希に吸う煙草の銘柄は芥川を気取ってか、ゴオルデンバツト。 流している音楽は大概、ジャズかプログレツシブ・ロツク。時たまに気が変わるのかB級アイドル歌謡だつたこともある。 店内にはそして怪しげな印度土産の像の石像だの南米辺りの土着民の仮面だの、怪しげなオブジエを飾りたてて居り、 その奇怪さは筆舌に語りづらいことこの上なく、もはや商売ではなく単なる趣味としか云えない店なのだが、主人は飽きもせず、 いつもわたしを相手に、戸川純のアイドルとしての魅力についてだの、アアムロツクの決め方だの、カリーの調理法談義(葡萄酒を入れる入れないだの、 馬鈴薯の大きさはどうだの)などとおかしなことばかりやつて居るばかり。 話を聞く限り、とかく思いつきで文を書いて奇行…もとい寄稿したり、絵心も無いのに絵を描いたりしているとのことなのだが、それにかまけてばかりおり 本業のバア一本気で商売をして一財産を儲けようだとか、何か世に対して謀をする、センセエシヨナルな事を起こそうだのという商魂が欠落して居るのである。 そして、その趣味すらものめりこんでいるやうに見えてどこか冷めた目で見ている感すらある。しかし、そのやうな場末の店にもわたしの様に訪れる客が居たのも確かで、世の中とはとかく妙なものだと感ぜられる店なのであつた。

名前

沖田海月
なんか知らんが「大尉」とか呼ばれてた時代もある

職業

舌禍の徒

竹本泉又は宇河弘樹

神、いわゆるゴッド